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P・R・E・S・E・N・T 松田聖子 (アルバムPineapple収録 邦楽)

松田聖子という名前が持つイメージを完璧に作り上げたという点で、デビューから二作目までのアルバムで全曲の作詞を提供した三浦徳子と、一曲を除き全てを作曲した小田裕一郎の功績はもっと高く評価されてしかるべきだと思うが、松田聖子について何かを言うとき、四作目の「風立ちぬ」以降、大半の曲の作詞を担当した松本隆を避けて通るわけにはいかない。「P・R・E・S・E・N・T」は、松本隆と来生たかおのコンビによって作られ、五枚目のアルバル「Pineapple」に収録されている。

片面だけのCDの普及とともに、ターンテーブルの上でレコードをひっくり返す必要が無くなってしまったことにより、私たちは音楽を聴く際の重要な「間」を失ってしまった。加えて、曲を飛ばしたり好きな曲をボタンひとつでランダムに繰り返して聴くことができるCDプレーヤーの機能は、一枚のアルバム制作に込められたストーリーとメッセージを奪ってしまった。アルバムは本来不可逆的なものである。そのような状況の中で、私たちは「P・R・E・S・E・N・T」がLPレコードでは、A面の一曲目に置かれていることの意味と重要性をもう一度思い起こさねばならない。

気がある男の子への揺れる恋心と微妙な感情を歌ったこの曲は、一番も二番も歌詞が「ルルルルルル」で終わり、三番の最後は「ルルルルルル、ララララララ」である。もしかしたら曲先で作られたため当代随一の作詞家である松本でも詞が浮かばなかったのか、余韻を持たせるために敢えてそうしたのか、複雑な気持ちを抱く主人公の女の子の感情を「ルルル」で表したのかよく分からないが、結果として言いようのない余情を聴く者に与えてくれる。

表現媒体の変化によってコミュニケーションの方法が多様化して、自己伝達に自信を無くしかけているのか、私たちは饒舌になりがちだ。映画を観ていても書き過ぎのことが多いように感じる。特にTVドラマを主体に仕事をしている人が映画のシナリオを書くと、きちんと伝わっているかどうか不安になってしまうためか、これでもかというくらい台詞の量が多い。人の気持ち、心の動きを全部喋らせてしまう。これでは想像力をかきたてる「間」というものが生まれない。江國香織の短い小説に、愛犬デュークの死についての話があるが、これでも書きすぎだと思ってしまう。本当に悲しい時は嘘も涙も言葉も何も出てこない。

「Pineapple」は松田聖子を代表するアルバムの一枚だ。私たちは来生が私たちが思っているよりもずっとメロディーメーカーであることを知ることができる。「レモネードの夏」が、松本と松任谷由実のコンビが手掛けた他の代表曲である「渚のバルコニー」、「赤いスイトピー」や「制服」、それに「秘密の花園」や「蒼いフォトグラフ」に決して引けを取らない隠れた傑作であることにも気付く。私は時々「Pineapple」を取り出して聴いているが、LPではなくCDであるのが返す返すも残念なことである。
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No title

こんばんは

 初めてコメントします。

 <私たちは音楽を聴く際の重要な「間」を失ってしまった

 本当にそうですね。
 さらに間を取る際の緊張感もなくしてしまいました。

Re: No title

> mikitaka08様

初めまして。コメントありがとうございました。

気軽に聴くことができるCDを重宝しており、もはやアナログレコードに戻ることはできないと知りつつ、失ってしまった物の大きさに愕然としてしまうことがあります。フィルムからデジタルにほぼ変わってしまった映画にも同じことを感じています。私自身、アナログレコードはそんなに多くは持っていませんが、それらはとても大切な宝物です。聴くためのプレーヤーが現在手元にはありませんが、レコードは捨てることなくずっと持っておくつもりです。

いつもブログ拝見しています。レコードの保有数ももちろんですが、一枚一枚愛情を持ってお聴きになられていることに、いつも感動しております。

これからもよろしくお願いします。

饒舌…うう(;^_^A 耳が痛い.

B面の1曲目っていうのも大事でしたよね(笑)
聖子ちゃんはあんまり聞かなかったのですが,来生さんの「夢より遠くへ」という曲はボクの大好きソングベスト10に入ってます.
ウチもボクのフォークソングや家内のクラシックのLPレコードがびっちりしまってあって,どうするんだろ,これ(;^_^A っていう感じです.
…ホントにどうしましょう.

Re: 饒舌…うう(;^_^A 耳が痛い.

> 江奈♂様

コメントありがとうございました。その通りです。B面の一曲目、これもとても大事です。生まれた時にすでにCDがあった世代には、「A面で恋をして」などピンとこないのでしょうか。

私も好きです、「夢より遠くへ」。同じく題名に夢が付く「浅い夢」や「夢の途中」もいい曲ですね。同時に来生えつこの存在も忘れてはいけないと思います。最強のコンビではないでしょうか。

私も段ボール箱にいっぱいのLPレコード、狭い住居で置き場所もなくどうしようかと頭を抱えていますが、大事に取っておくつもりです。

これからもよろしくお願いします。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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