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淡竹

どうしても終わらせなければならない用事という訳ではないが、機会があったので今月高知へと一人で帰っていた。見たところ何かが変わっているということはない。しかし約一年ぶりの高知は、到着した時から私に猛烈な違和感を感じさせる。まるで初めて訪れる土地のようだった。高知駅に降り立ったのが夜の10時くらいであったので、夜の風景のせいであろうと無理やり自分を納得させると、寄り道もしないで宿泊先のホテルへと向かい、早々と寝てしまった。

明くる日、墓参りを終えて街へと戻ってみたが、昨日の違和感はそのまま私の中に残っている。中学、高校生の時によく通った本屋が、少し場所を移動して新装オープンしているからなのか、よく名前を聞く全国チェーン店が新しく開店しているからなのか、自問自答してもよく分からない私は、久しぶりに帰った高知に居場所を見つけることができず、ゆっくりしようと遅めの時間に予約をしておいた飛行機を二本早めて羽田に帰ることにして、高知空港行きのバスに乗った。

席の変更も無事終り、搭乗まで一時間ほどあった私は、空港内の土佐料理の店へと入り、昼ごはんを食べることにした。昼食と言っても他の客が食べているような定食の類ではなく、ビールと幾つかの典型的な高知のつまみを注文した。ビールを飲み終え、高知の食べ物を口に運びながら日本酒に移っても、私の中に芽生えたしっくりこない気持ちは変わらない。最後にと思ってもう一本ビールを注文しようとした私は、つまみが無いことに気づき、もう一度メニューを見た。そこで「淡竹」と書かれた食べ物に目が止まった。高校を卒業するまで高知に住んでいたが、「淡竹」という名前は聞いたことがない。食べてみようと思い、ビールを注文する時に店の人に尋ねてみると、柔らかい竹であるという。18年間高知で暮らしていたが、食べたことがないばかりか初めて知ったというと、店の女性も、実は私もこの店で働くまで知りませんでした、と小さい声で私にだけ聞こえるように言った。

淡竹はビールによくあった。たいへん美味しかった。搭乗時間となり飛行機に乗った私は、空港に着くまで心に響いていたあの違和感が消えていることに気づいた。家へ戻って調べてみると「淡竹」は全国的に栽培されており、高知の特産ではないらしい。店の女性も知らなかったのは当然だったかもしれない。高知と言えば私は「四方竹」が大好きであるが、その他にも18年間住んでいた時も、そして東京に移り住んだその後も、全く知らなかった食べ物が高知にあったことを知って嬉しかった。探せばまだまだ他にもたくさんあるだろう。いったんは居場所がないと思った高知であるが、まだまだ私の気持ち次第では受け入れてくれるのではないかと、次回の帰省が義務から楽しみへと変わった瞬間だった。
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No title

あけましておめでとうございます.

あれま(;^_^A ハチクって細くて柔らかいタケノコでしょ.
おつまみによさそうですね.

Re: No title

> シエナ様

あけましておめでとうございます。

そうです、柔らかいタケノコです。実際に口にすると、昔日曜市などで買って家でも食べたことがあると思い出したのですが、「淡竹」という名前だったのは、初めて知りました。まだまだ知らないことがたくさん残っていることは、いいものです。

本年もよろしくお願いいたします。

プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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