スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

レスパドン (フランス料理 フランス パリ)

日曜日の朝は別の時間が流れる。部屋の窓から見下ろす光景もどこか違って目に映るし、実際に近所を散歩してみれば明らかに違う空気が漂っていることを知ることができる。私の大好きな時間だ。そしてもし欧州への旅行日程に日曜日が含まれているなら、デパートを初めとしてほとんどの店が休みのため何もすることがなくなることを覚悟しなければならない。それでも私は街全体が弛緩したような、心地よい時間がゆっくりと流れるヨーロッパの日曜日も大好きである。

しかしこと外食となると多少苦労が伴う。多くの店が休業であることはミシュランの星つきのレストランでも変わらない。その時土曜日の夜にパリについて、月曜日には次の仕事先に移動しなければならなかった私にとって、与えられた時間は日曜日しかなかった。幾つか行ってみたいレストランをあたってはみたが、ことごとく日曜日は休みだ。日曜日に開いているといえば、ホテルのレストランしかない。私はオテル・リッツ・パリに電話をかけた。そしてあっさりとレスパドンにランチの席が取れた。1990年代の半ばのことであったと思う。

まだエリック・フレションもヤニック・アレノもティエリー・マルクスも登場していなかった頃、パリのレストランシーンを引っ張っていたのは街場のレストランであった。日曜日に開いているホテルのレストランという選択肢の中で私がリッツを選んだのは、ホテルと言えばリッツだと思い込んでいたからだ。予約の時間の少し前にホテルに着き、エントランスから中へと入った私は圧倒された。歴史と伝統が重さとなって私に降りかかってくる。極度に張り詰めた気持ちで歩いたレスパドンまでの道を、私はよく覚えていない。しかしこの緊張は席に案内されると同時に消えていく。直近予約の一人客に対してもレスパドンのスタッフは、格式を保ちながらも緊張を強いることのないサービスで私の心をほぐしてくれた。

名シェフの一人と呼ばれていたギー・ルゲであるが、私にはそんなに記憶に残る料理ではなかった。伝統を踏まえた上で、「ヌーベル・キュイジーヌ」のスタイルを志向したものであったが各皿に突き抜ける「何か」が欠けており、結果的に平凡な印象に終始した。唸ったのは食後に供されたチーズの中のロックフォールだけであった。どちらかといえばブルーチーズが苦手であった私の認識を根底から覆すものであった。この時以降、私はあれほど美味しいブルーチーズをフランスのレストランを含めて食べていない。

料理だけを取れば、私にはどこが二つ星に当たるのか分からなかったレスパドンであるが、そのサービスは素晴らしかった。レストランとは何かという問いに対しての一つの答えのようにも思った。ありふれた結論になるが、結局は「リッツはリッツである」ということに落ち着くのであろうか。その後パリを訪問した時にはかなり無理をしてル・ブリストルやル・ムーリスへ泊まったが、オテル・リッツ・パリはまだ私の永遠の憧れだ。何時の日か宿泊することを夢見ながら、そしてもう一度ロックフォールを食べることを考えながら、日常の時間を過ごしている。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

こんにちは!
何ともハイソな食レポ,参考にさせていただきたいのはヤマヤマなれど,ワタクシでは,二度生まれ変わって,真面目に働かないと,つけそうにないテーブルです.せめて流れるようなこの文章から想像して楽しませてもらいます.せぼーん♪

Re: No title

> 江奈♂様

コメントありがとうございました。外食については独身時代の一人での訪問がほとんどで、多少なりとも自由にできるお金があったのですが、家庭を持った今ではなかなかそうは参りません。古い内容でなおかつ「思い出」という厄介なスパイスがかかっていますので参考にはならないと思いますが、お読みいただければ幸いです。

これからもよろしくお願いいたします。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
オンラインカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。