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佐川君からの手紙 唐十郎 (河出書房新社)

以前にピースの又吉直樹がライバルであると書いたが取り消さないといけないかもしれない。彼は小説を書き、芥川賞まで取ってしまった。受賞のニュースがこれほど大きく報じられたのは、綿矢りさと金原ひとみが同時受賞した時以来であろうか。これらの二回ほどではないかもしれないが、唐十郎が「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞した時も、演劇畑の人が書いた小説であること、そして何よりもその題材と内容により、大きく取り上げられていた記憶がある。

まだ日本がどっぷりと昭和であった1980年代、年二回公演、全て新作、決して再演はしないと標榜していた状況劇場が初めて「新・二都物語」との交代の演目で「二都物語」を再演した時に、唐の芝居に接して衝撃を受けた私はそれからの数年間、唐と名が付けば何でも観ていた。当然この本も発売後すぐに買って読んだ。そして同時に収録されていた「ご注意あそばせ」を含めて、失望した。聞き取ることが困難なほどの膨大な台詞量、比肩を許さぬ唐独自の世界、李麗仙を初め唐本人も含めた圧倒的な役者陣、それら全てが全力で疾走している状況劇場の芝居に比べて、「佐川君からの手紙」は何とも中途半端で、私に唐の世界に浸ることも、小説を読む喜びも与えてはくれなかった。

新宿の花園神社で再演された「二都物語」は興奮するほど面白かったが、上野の不忍池を玄界灘に見立てた伝説の初演版とは何かが違ったようだ。1960年代、70年代の状況劇場を観る事ができなかったことは私とって本当に残念なことである。唐組を旗揚げしてからは足が遠のくようになる。妻と一緒に「泥人魚」を観に行ったのは、もう10年以上も前のことだ。現在唐は新作を書く事もなく、役者として舞台に上がることもなく、演出も久保井研と共同で行っているが、それでも唐と彼の作品は私にとって特別な存在である。秋には「鯨(ゲイ)リチャード」の公演が決定している。今の唐を観るために、久しぶりに紅テントへと行ってみようかと思っている。
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No title

魔笛さん、こんにちは。
なんとタイムリー! 昨日、ちょうど花園神社へ行ってきたところです。
私は残念ながら紅テントの芝居は観たことはなくて
(黒テントの方は観たことあるけど〜)
若い頃はアングラ演劇のブームには若干乗り遅れつつ
80年代前半はいろいろ芝居を観たり戯曲を読んだりしましたよ。
状況劇場は華々しかったですよねぇ。
「佐川君から〜」も読んだけど、今となってはよく覚えていません(汗
なんかあれもこれも今となっては遠い昔の出来事です・・・。

Re: No title

> さとちんさん

コメントありがとうございます。

私は逆で黒テントの公演を観た事がありません。観に行きたいと思ったことは何度かあったのですが、すれ違いからか縁がなく今日に至っています。佐藤信の演出は二期会のオペラで観たことがあるだけです。

私も80年代前半はあちこちによく芝居を観に行っていました。とても懐かしい遠い日の思い出です。

今後ともよろしくお願いします。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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