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17號鳳梨酥 (日出糕餅 台灣 台中)

およそ十年ぶりに訪れた台灣は、時間の流れを感じさせてくれるには十分過ぎるほどであった。高雄から桃園まで立ったまま五時間もかけて移動したことが嘘のように、今は高速鉄道が二時間もあれば台灣を縦断する。タクシーは真新しい黄色の車体に変わっていた。無理な割り込みはなくなり、クラクションもついぞ聞くことがなかった。住んでいる日本では文字通り十年一日のごとく、日々の変化に無頓着で日常に埋もれて暮らしていたが、間違いなく時間は流れていたのだ。

最初の会社で働いていた時、台灣出張の多かった上司が土産に買って来るものといえば、鳳梨酥=パイナップルケーキだった。それもなぜか大手食品メーカーである「新東陽」限定である。以来、台灣のお土産といえば私はパイナップルケーキ以外、何も思いつかない。先日の台灣訪問で台中を訪れた時、「日出糕餅」という会社の「17號鳳梨酥」というパイナップルケーキをいただいた。色々と試したその人が一番美味しいと思うパイナップルケーキだそうだ。私はそれを自分と家族へのお土産として、会社には別のパイナップルケーキを買った。馴染み深い「新東陽」にしようと探したのであるが、台中であったせいか見つけることができなかったので、適当に購入して日本へ持ち帰った。

家へと帰って早速「17號鳳梨酥」食べてみると、今までに食べたことがない程美味しい。中のパイナップル餡の甘さ、酸味、果肉感のバランスが素晴らしく、外を包むクッキー生地との相性が抜群である。高カロリーであることを認識しながらも、気がついたらいつの間にか二個、三個と一人で食べていた。これは明らかに以前からのよく知っているパイナップルケーキとは別物である。調べてみると、以前は餡の量を冬瓜で増量していたのであるが、最近はパイナップル100%で作るものが多いようだ。ここでも十年の歳月を感じることになるが、本当に別の食べ物だったのである。

人間とは実に不思議でわがままなものだ。パイナップルケーキとしては「17號鳳梨酥」の方が圧倒的に美味しい。機会があれば今度は自分で購入するだろう。しかし昔食べてよく知っている冬瓜入のタイプにも、また強く惹かれてしまう。果実感も果肉感も薄いが、あの滑らかな口触りが妙に懐かしい。同じように台湾ビールも今は「金牌」というプレミアムバージョンが出ており、かなり美味しいのであるが、まだ台灣ビールが一種類しかなかったころの、昔の緑色のラベルの普通の台灣ビールをついつい探してしまう。

どんなにストレートのオレンジジュースが美味しくても、昔小さかった頃に遊園地で噴水のような自動販売機で売られていた、ある意味毒々しい色のあの飲み物の味を忘れることが出来ない。どんなにイタリアンレストランのパスタが美味しくても、茹で置きの麺で作るスパゲッティの味を忘れることが出来ない。同じことをパイナップルケーキや台湾ビールにも見るのであろうか。この気持ちが単にノスタルジーなのか、それとも染み付いた味覚なのか、取り戻すことの出来ない時間へのせめてもの抵抗なのか、私にはよく分からない。
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魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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