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激突! スティーヴン・スピルバーグ (洋画 VHS鑑賞)

もうとっくに時効になっているくらい昔の事となってしまったが、私がまだ大学生だった頃、友人の通っていた大学へ行って無断で蓮實重彥の映画の講義を受けたことがある。たった数回のことだったが、非常に貴重な体験であった。もし出席を取って私の名前が登録名簿にないことが発覚すればどうなるのだろうかという不安をいだきながらの受講であったが、蓮實は出欠を取ることもせず、誰を指すわけでもなく淡々と映画について話をしていたが、そこには映画に対しての愛情と、そして観る者に対しての映画に関する知識と姿勢を含む厳しい要求があったように思う。

例えば映画における地理的移動を観客に視覚的に示すために地図上の数点を線で結んでいくという手法があるが、「カサブランカ」で使われたこの方法が「レイダース 失われたアーク《聖櫃》」でも同じ様に使われていることを、スクリーンに二つの映画の場面を実際に映しながら説明をしていた。この方法は現在でもそのまま使われており、それは「猿の惑星:創世記」のラストシーンを観ることによっても知ることができる。つまり映画を観るということは、映画を愛した先人と残された作品に対する慎み深い尊敬と謙虚な愛情に他ならない。

「激突!」については確か講義の時間をほぼ全て使ってまず全編を観て、次回にその内容についての説明があったように思う。もちろんDVD等まだなかった時代であるので、おそらくはVHSによる上映だったと思うが、決して大きいとは言えないスクリーンで、決して良いとは言えない画質と音質で観たにも関わらず、冒頭映画が始まってすぐに私は映画的愉楽の中へと身を委ね、それは映画が終わった後もしばらく続いた。

私はスピルバーグの映画を「ジョーズ」から観ている。その後に「未知との遭遇」、「1941」と続くので、「激突!」を観たのは最初にスピルバーグの映画に接してから随分と時間が経っていたはずだ。それにも関わらずスピルバーグの映画の全てが「激突!」から始まっていることを瞬時に知った。つまりそれはドラマを創出するための効果の演出と手法である。これはサスペンス映画においても、「カラー・パープル」以降のシリアスな映画においても、「激突!」と何ら変わることはない。

スピルバーグもフィルム撮影を好む監督の一人である。私もフィルムの持つ質感と色味を好む。初めて「激突!」を観た日の深い感動を胸に抱きつつ、今でもスピルバーグの新作映画を観ることの出来る幸せを私は噛み締めている。
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No title

あけましておめでとうございます。

言われてみれば、『激突』の画質と「次どうなるか?」感のうまさが、
スピルバーグ映画の “文体” なのかもしれませんね。

いつもすばらしい切り口の記事、楽しみにさせていただいております。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

Re: No title

> つかりこ様

あけましておめでとうございます。

作家性とまでは大げさでなくても、映画を作る人にはその人なりの何らかをスクリーンに映し出して欲しいと思います。ありきたりの文法ばかりで、きちんとした文体が見られない映画にはあまり魅力を感じません。

本年もよろしくお願いいたします。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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