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AGFA (ドイツ連邦共和国)

それを見ればその国に来ていることを実感するというものがそれぞれの国にある。例えばそれは香港では縦にではなく横に長い路上に突き出した看板であり、フランスではバス停の横のスクロールする広告であり、アメリカではレストランのメニューにカラマリやアンティチョークディップの名前を見た時だ。同じように駅で降りて建物の外に出た時や、空港から市街地に向かう車の中からAGFAの看板を見かけた時、私は今自分がドイツにいることをしみじみと実感する。

それほどまでに馴染みのあったAGFAであるが、私はAGFAのフィルムを使ったことがない。いつも富士フィルムか、たまにコダックであった。小津安二郎が愛したAGFAカラーであるが、私の使っていた安価なカメラと乏しい腕では他のフィルムとの違いを認識することは難しかったであろう。最後にドイツを訪れたのはもう15年も前のことだ。その時はまだ所々でAGFAの看板を見かけたような気がする。しかしAGFAはデジタルカメラの普及によりフィルム事業からは撤退してしまったようだ。それでもAGFAは私の中でドイツ旅行の思い出として今も褪せる事のない鮮やかな色彩を残している。

私はフィルムで撮られた映画のグレイン感のあるニュアンス豊かな色味が大好きだ。高画質と言われているが、輪郭だけを強調したような薄っぺらい奥行き感のないデジタルの映像を私は美しいとは思わない。またその場で撮影した映像の確認が可能であり、必要であれば何度でも撮り直すことができるデジタル機材の簡便性が、緊張感のない現場またの雰囲気を醸成して監督と俳優の馴れ合いの関係を生み、結果として浅い役作りと安易な演技が画面中に横行していると思っている。このことは映画にとって、そして映画を映画として愛して来た人たちにとって幸福なことでは決してない。

富士フィルムは昨年3月で撮影用・上映用フィルムの事業を中止した。コダックはフィルムの供給を続けてはいるが、チャプター11を裁判所に申請して再建の途上にある。フィルム撮影、上映の最後の牙城と言われて来たピンク映画界でも、二大大手の新日本映像そしてオーピー映画がデジタル撮影へと移行した。首都圏の映画館もごく一部の名画座を除いてデジタル上映である。もうデジタル化への流れを止めることはできない。私はフィルムで撮影された映画は、フィルム上映で観たい。編集段階で多くのデジタル処理が行われていることは承知しているが、最終的な上映フィルムには、フィルムという手段を選んだ監督の気迫とそれに応える俳優、スタッフの意気込みが焼き付けられているからだ。フィルム撮影という手法に固執し、その意義と理由を知り尽くしているクリストファー・ノーランの新作をデジタル上映でした観る事のできない日本の現状をどのように考えればいいのであろうか。
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魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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