スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

JR上野駅 (東京都台東区)

赤レンガ駅舎が復元されて立派になった東京駅も悪くはないと思うが、ヨーロッパに多く見られるターミナル駅に旅の情趣と、見知らぬ人同士が時間と空間を共有する場所としての美しさを感じる私にとって、首都圏で唯一同じ感覚に浸ることができるのは上野駅だけである。頭端式ホームということであれば東京都内でも多くの私鉄が採用しているが、残念ながら高い天井を持った駅舎を有していない。それ故か、例えばミラノ中央駅やミュンヘン中央駅、その他どこのヨーロッパのターミナル駅でもいいのだが、あの独特の旅情を味わうことが困難となっている。

JR上野駅には幾つかの出入口があるが、大好きであるのは広小路口からグランドコンコースを通って、中央改札へと歩くコースである。山形の高い天井を透かして外光が差し込んでくる広間は日本の駅としては十分に広いが、それでも多くの人でいつも溢れかえっており、その賑わいと喧騒が私の気分をいやが上にも高める。そして改札を越すと右手方向に常磐線特急の頭端式ホームが見えて来る。そのまま視線を左上に移せば高架ホームに止まっている常磐線の電車を見る事ができる。この重層構造はヨーロッパの駅には無いもので、上野駅の独特の情景を作っている。

上野駅で降りる時は公園口へと出て東京文化会館へオペラやコンサートを聴きに行くか、美術館巡りをしてそのままぶらぶらするか、あるいは広小路口から出てアメ横を散策することが多いが、たまには入谷口から出て日比谷線の上を歩いてみることもいい。七月には真源寺で朝顔市が開かれたばかりだ。頑張ってもう一駅分歩けば三ノ輪に着く。昔「尾花」へ鰻を食べに行った時は南千住から歩いたが、三ノ輪からの方が近いかもしれない。浄閑寺で蝉の鳴く熱い夏の日に手を合わせていると永井荷風を初めとして色々なことを考えてしまう。この寺のすぐ目の前にあったという荒木経惟の生家の痕跡を見つけることは難しい。しかし「センチメンタルな旅・冬の旅」に映る地下鉄三ノ輪駅の姿は今も変わらないように見える。狭い通路を写した一枚の白黒写真は、私の心の深い所を揺さぶる。

その後明治通りへと出て南千住へと足を向ければ、交差点に「泪橋」の標識があり、今に至るまで読んだ漫画の中では「あしたのジョー」が一番好きである私にとっては、漫画の内容と楽しかった当時のことが思い出されて、標識を見る私の目も少し涙に曇ってしまう。土手通りへと戻り、これも今はバス停の名前と標識に残るだけの「吉原大門」を過ぎて、ぶらりぶらりと歩きながら鷲神社でお参りをしつつそのまま南へと歩いて行けば、いつの間にか浅草へ行き着いてしまう。風情漂う大好きな上野駅は、私にとって東北や上越への玄関口というよりも、少年時代の思い出や江戸時代へと続く時間旅行への玄関口なのである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

ジョーが好きというのは、この作品のソバにいる自分の身が引き締まります。昭和の作品は、人生観を根本から変えるチカラがありましたね。多少異なりますが、麒麟の像も映画見た後に、橋の前を通るとシミジミします。

Re: No title

> Kirin様

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、昭和の作品はとても強い力を持っていたように思います。これは単に幼少期もしくは多感な時期に作品に接したために記憶に残っているということではなく、作品そのものに力があったということなのでしょう。「あしたのジョー」はそんな中でも、一番好きで大事な漫画です。

これからもよろしくお願いいたします。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
オンラインカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。