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去年マリエンバートで アラン・レネ (洋画 映画館鑑賞)

自らの本能と嗜好に素直に従い、見たい映画だけを見ていると今では堂々と宣言できるが、まだもう少し若かった当時は、1980年代半ば位のことであるが、この映画は見ておかなければならないという自らに課した理由のない義務感や、この映画は見ておかないと格好悪いという根拠のない虚栄心から映画館へと足を運んで見た映画が何本もある。一応フランス文学というものを専攻していた私にとって「去年マリエンバート」は見ておかなくてはならない映画であり、見る前から面白かったと周りに言うことが前提となっているような種類の作品であった。

実際に見たのは飯田橋の日仏会館だったか御茶ノ水のアテネ・フランセだったか、そこのあたりの記憶はすでに曖昧である。しかし映画は予想に反してそんなにつまらないものではなかった。ヌーヴェルヴァーグを代表するアラン・レネと、ヌーヴォー・ロマンの旗手であったアラン・ロブ=グリエの組み合わせということでかなり構えすぎたのかもしれない。ただこのことは映画が手放しで面白かったと言うことは意味しない。退屈しなかったと言う程度のことである。アラン・レネに関してのこの印象は「二十四時間の情事」を見たあとも基本的には変わっておらず現在に至るまで続いている。

アラン・ロブ=グリエについても平岡篤頼や若林真の訳で何冊か読んでみた。とても面白いがそれ以上のところまでは私を連れて行ってはくれない。自らが監督をした「不滅の女」も知的好奇心は誘われるが、私の考える映画的快楽、映画的愉楽とは少し離れた場所にあるものであった。ただ映画自体は、自らが文章で表現したかったことを映像という手法を使って表したという種類の物ではなく、紛れもない映画であったことは付け加えておきたいと思う。

セーヌ川に架かるPont Neuf=新橋が今ではパリに現存する最古の橋であるように、新しいものは必ず古くなる運命にある。「新しい小説」の名をもって華々しく登場したヌーヴォー・ロマンであるが、「テル・ケル」を経ながら現在はどのような形になっているのであろう。物は変化すること自体で新しさを作っていくがまだ石は転がっているのであろうか。久しく同時代のフランス文学作品から離れているため、私にはよく分からない。アラン・ロブ=グリエは残念ながら2008年に亡くなってしまったがアラン・レネはまだ現役のようだ。もう一度「去年マリエンバート」に戻り、同時代を生きてきた自らの時間とも重ね合わせながら、ヌーヴォー・ロマンとヌーヴェルヴァーグに浸ってみたいと言う欲求が心の中で静かに芽生え始めた。この気持ちに素直に従ってみようと思っている。
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No title

儲けることを考えていない類のフランスの小説や映画って、
自分としてはなかなか手ごわいですね。

何を伝えたいのか、何をやってみたいのかが、
比較的受け手にわかりやすく、
実存主義的に表現が多彩に展開する、
といった作品ならば楽しめるのですが、
“表現のための表現” といった作品となるとお手上げです(笑)。

たとえば、まったく時制が違いますが、
ジョルジュ・バタイユの「青空」(もちろん日本語訳しか読めません)などは、
かっこいい!としか感想の述べようがないのです(笑)。

「去年マリエンバートで」は観てみたいです。
wikipediaで読む限りでは、黒澤の「羅生門」のように
一つの事実を複数の主観で見る、といったテーマが興味深いですし、
ココシャネルの衣装やヒッチコックの出演などにも興味が湧きますし。

そういう意味で言って、ワタシ的にはヌーベルヴァーグといえば、
ルイ・マル監督の「地下鉄のザジ」がわかりやすくて好きです。
すべてのヌーベルヴァーグ作品を見たわけではないのですが。

ご案内、ありがとうございました!

Re: No title

> つかりこ様

コメントありがとうございます。ルイ・マル監督の「地下鉄のザジ」いいですね、大好きな映画です。主人公のザジを演じた女の子がとても可愛くて素敵でした。レーモン・クノーの原作よりも映画の方が好きかもしれません。「死刑台のエレベーター」、「恋人たち」の印象とは全く違ったルイ・マルに魅了されました。「ヌーヴォー・ロマン」がとはだったのか、「ヌーヴェルヴァーグ」とは何だったのかの結論を出すのにはまだまだ早いのかもしれませんが、自分自身としては少し時計の針を戻してそのふたつにどっぷり浸かってみるのもいいのではないかと思っています。

ジョルジュ・バタイユの「青空」ですが、まだ読んでおりません。早速本屋に走ろうと思います。ありがとうございました。

これからもよろしくお願いいたします。

むつかしい・・・

カンヌ ヴェネツィア ベルリン・・・国際映画祭の作品って ほんとに難しいですね 深く考えないちえこには ついてけません 哲学的じゃないけど ハリウッドがいい!  

Re: むつかしい・・・

> Chieko様

確かに映画祭で賞を受ける作品は難解という印象があります。でも2012年のカンヌ映画祭のパルム・ドールの「愛、アムール」は最初はとっつきにくかったですが、最後は見入っていました。老いと死と夫婦の関わりについて深く考えさせられる映画でした。私はハリウッド映画も大好きです。4月25日公開予定の「アメイジング・スパイダーマン2」、実はかなり楽しみにしています。

これからもよろしくお願いいたします。

No title

「すぬおの日記」は?
最近ないですね 
ウフフ・・・で 
それなりに オモシロいから
好きです

Re: No title

おこんばんわ、すぬおです。最近はパパの監視が厳しいのと、あと寒くて思考停止状態なんで日記しばらく書けてないけど、またパパの目を盗んでアップするんでその時はよろしくね。それじゃ、ばいばい。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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