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すぬおの日記 (番外編 その3)

マカロン事件
                                     すぬお作

レナはマカロンが大好き。ママのお供で行ったケーキ屋で初めて食べたときから、一瞬で好きになりました。マカロンにはたくさんの種類があります。赤い色をしたフランボワーズや、黄色のレモン、それに緑色をしたピスターシュ。でもレナが一番好きなのは、やっぱり茶色のチョコレートマカロン。甘くて、ちょっぴり苦くて最高です。

「レナ、おかえり」
「ただいま」
「きょうのおやつは、マカロン堂で買ってきたビッグチョコレートマカロンよ」
「えっ、本当? うれしい!」
マカロン堂は、最近レナの家の近くにできたマカロンの専門店。たくさんの種類のマカロンがきれいにショーケースに並んでいます。どれもとっても美味しくて、さらにうれしいのは、それぞれのマカロンにドラ焼きほどの大きさのビッグサイズがあることです。マカロンは大好きだけどすぐに食べ終わってしまうので、もう少し大きなマカロンが売っていないかなあ、といつも思っていたレナにはぴったりです。
テーブルの上のお皿には、半分ほどナプキンがかかった茶色のマカロンが見えています。
「わあい、マカロン、マカロン」
「レナ、手洗いとうがいは終わった?」
洗面所からママの声が聞こえて来ました。
「はあい」
レナは急いで洗面台へ行き、ママの隣で手洗いとうがいを済ませると、ママと一緒にリビングへ帰って来ました。
「さあ、食べよう」
椅子に座ってお皿をみると、ナプキンは見当たりません。そしてマカロンを見た瞬間、レナは大きな声で叫んでしまいました。
「誰かが私のマカロンかじってる!」 
マカロンにはくっきりと一口かんだ歯形がついていました。
「どこかでこの歯形、見たことがあるような気がする。そうだ、同じ歯形を見つければ、きっと私の大事なマカロンを食べた犯人がわかるはずだわ」
レナはマカロンの上に残された歯形をしっかりと覚えて、手には板ガムを持って犯人探しに出かけることにしました。

まずは家で飼っている犬のオニオン。
「ねえオニオン、私のマカロン食べなかった?」
「ううん、食べてない」
「それじゃ、ここをかんで歯形をつけて」
レナはポケットから板ガムを出しました。
「がぶっ」
「ううん、ちょっと違うみたい」
犯人はオニオンではないようです。

次は近所の満月池のぬしの亀吉さん。
「ねえ亀吉さん、私のマカロン食べなかった?」
「いいや、食べとらん」
「それじゃ、ここをかんで歯形をつけて」
レナはポケットから板ガムを出しました。
「がぶっ」
「ううん、ちょっと違うみたい」
犯人は亀吉さんでもないようです。

じゃその次は、ねこ王国のフェルディナンド大王さま。
「ねえ大王さま、私のマカロン食べなかった?」
「わしは食べてはおらんぞ」
「それじゃ、ここをかんで歯形をつけて」
レナはポケットから板ガムを出しました。
「がぶっ」
「ううん、ちょっと違うみたい」
犯人は大王さまでもないようです。

最後は、いたずらカラスの虎太郎。
「ねえ虎太郎、私のマカロン食べなかった?」
「ううん、食べてない」
「それじゃ、ここをかんで歯形をつけて」
レナはポケットから板ガムを出しました。
「がぶっ」
「ううん、ちょっと違うみたい」
犯人は虎太郎でもないようです。

レナはガムについた歯形をもう一度全部確かめましたが、マカロンについていた歯形とは違っています。
「いったい誰が、私のマカロンを食べたのだかしら?」
レナは家へ帰ることにしました。

「おかえり、レナ。どこへ行っていたの?」
「うん、ちょっと」
「大好きなビッグチョコレートマカロンを出そうと思ったら、もういないんですもの」
「えっ!」
お母さんの手には、真っ白いお皿にのった大きな茶色のマカロンがありました。
「それじゃ、あのかじったあとがあるビッグマカロンは?」
「ああ、あれはお母さんお食べかけのコーヒーマカロンよ」
お母さんは笑いながら答えました。
「あんまり美味しそうだったので、味見にひと口かじったときにちょうどレナが帰って来たの」
「うん」
「レナと一緒に食べようと思って、かじった所にナプキンをかぶせて洗面台に行ったんだけど、帰って来たときにはナプキンは風で飛んでしまってたみたい」
「ええっ」
「そのあと、チョコレートマカロンを冷蔵庫に取りに行って帰ってきたら、レナもういないんですもの」
「そうか、どこかで見たことがあると思ったら、あれはママの歯形だったんだ」 
レナは心の中で言いました。そして、みんなを疑ったしまって、悪いことをしたなと思いました。
「オニオン、亀吉さん、大王さま、それに虎太郎、ごめんなさい」
「さあ、食べましょう。ミルクも入れたわ」
「はあい」
レナは大きく口をあけてビッグチョコレートマカロンをかじりました。
「やっぱり、おいしい」
マカロンにはレナの歯形が大きく残っています。
「そうだこれから、みんなに残りの半分を持ってあやまりに行こう」
レナは立ち上がると、大事そうにマカロンを袋に入れて、オニオン、亀吉さん、大王さま、虎太郎のところへ出かけて行きました。

                                                                おしまい
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映画館という特異な空間では、時間が伸び縮みしているのであろうか

携帯電話が普及するずっと以前から、私は腕時計をする習慣がない。待ち合わせの場合など時間が分からなくて苦労しそうなものだが、意外と街には至るところに時計が溢れていて、実際には困った記憶がない。それゆえ私は映画館へ行く時も、昔から両腕には何も付けないままで行くので、上映中に時間を確認することがない。

映画館の中は完全に切り取られた空間だ。開演を知らせるブザーが鳴り、照明が落ちて暗くなって映画が始まった瞬間、そこは別世界となる。外界から隔離された場所で、たまたま偶然そこに居合わせた観客たちは、それぞれの方法で映画を楽しむ。至福の時間が始まり、そして終わる。劇場で映画を観る時、私はその絶対的な時間よりも長く感じてしまう事が多々ある。定量的な物差しよりも、感覚的な物差しが勝ってしまうのだろうか、70分、80分の映画が、時として2時間近くにも感じてしまう。これは特に日本映画が元気であったころの、いわゆるプログラムピクチャーとして作られた邦画を観た場合に多い。終わった後はかなり疲れているが、それはとても気持ちのよいものである。

逆に家でBru-rayもしくはDVDでTVドラマ出身の監督が撮った映画を観る時は、上映時間に対して短く感じてしまう事が多い。2時間の映画が、90分くらいに思えてしまうのである。これは面白いから短く感じるのではない。全てを台詞で説明してしまう余情のない脚本、決まった所で予想通り挿入される工夫のない音楽、平凡で面白みのないカメラワーク、ドラマを創出できない表面的な人物造形と演出など、映画としての薄さが私に時間を短く感じさせるのだ。

私は劇場で観る、映画のいっぱい詰まった作品が大好きである。実際の上映時間以上に心地よい疲労感を与えてくれる映画。長い映画であるにもかかわらず、もう終わってしまうのかと残念な気持ちとなり、ずっと観ていたいと願う映画。四角に切り取られた真っ暗な空間に座っている私の中では、時間は物理的な規則には従わず自由に伸び縮みをしている。そんな体験を何回でも味わいたくて、私は今日もまた映画館へと足を運んでしまうのである。

アンカーバター

日本と中国を結ぶ近距離線では機内食も一種類だけのことがほとんどで選択の余地がないが、例えば台湾線のように洋食と和食から選ぶことが出来る場合は、高い確率で洋食を頼んでしまう。はっきり言って内容に大きな差があるわけではないが、トレーの上にちょっこと付いてくるアンカーバターが大好きだからだ。以前は別のメーカーのバターだった日系の航空会社も、最近はアンカーバターを使っている。このわずか7gのバターに、私は飛行中大きな幸せを感じるのである。

普段家では有塩のカルピス特選バターを使っている。まろやかな風味ではあるが、しっかりと牛乳の味がしてたいへん美味しく、このバター以外は考えられないほど満足してはいるが、トーストではなく少し味の強いパンに塗ると負けてしまうことがある。そんな時は、色からして全く違う、濃厚で力強い味のアンカーバターを思い出してしまうのである。

飛行機の中だけではなく、海外のホテルでは朝食でもよく見かける青地に赤でAnchorと書かれた小分けタイプのものであるが、不思議なことに日本ではホテルで朝食を食べても見かけることがない。いや小分けタイプだけではなく大きいサイズのものも、スーパーはおろか輸入食品店でも置いてあるのを見たことがない。通販で調べてみても5kgの業務用しか見つけることが出来ない。日本を一歩出ればごく普通にあるアンカーバターが、いくら探してもない。

こうなると大変である。読むことが出来ない本ほど読みたくなるし、観ることが出来ない映画ほど観たくなることと同じで、時々無性にアンカーバターが食べたくて食べたくて仕方がなくなることがある。実は前回中国へ行った時に泊まったホテルから持ち帰った小分けタイプのアンカーバターが二個、冷蔵庫に入っている。だが14gはわずかな量で一回分だ。これを食べきってしまうともうしばらくは手に入りそうにない。性格的に貧乏性の私は、ハードタイプのパンを買って来た時など、冷蔵庫を開け閉めしながら食べようかどうしようか、唸りながら迷っているのである。

アッカ (イタリア料理 東京都渋谷区広尾)

美味しいものは東京から遠ざかって行く。かって広尾にあり、衝撃を受けるほどにその美味しさに感動したこのレストランも、結局は一度きりの訪問で再訪が出来ないまま、岡山へと移転してしまった。

料理雑誌の写真で見たパスタと林冬青シェフの修験者の様な顔に興味を覚え、思い立って電話をしてみると、最後の一席ということでたまたま当日のランチに空きがあり妻と二人で「アッカ」を訪れたのは、思い出してみるともう十数年前のことになる。「アッカ」はわがままなレストランだ。入店時間を指定される。メニューも限られている。つまり映画館と一緒で、ヨーイドンでみんなで同じ料理を食べる。普通であれば制約が多いレストランを私は好まない。何を食べようかと迷いながら考えている時間が大好きだからだ。しかし運ばれてきた「アッカ」の料理は、そんな私を黙らせてしまうほど素晴らしいものであった。

わがままと言っても玉子が苦手な妻のためにパスタ料理をカルボナーラから別の料理に差し替えてくれる柔軟性は持っている。おかげでお互いの皿の味見ということで、二種類のパスタお楽しむことが出来たのは幸運であった。しかし何よりも強く記憶に残っているのは、鴨料理の素晴らしさである。肉は丸ごと焼くほうが美味しい。それなのに多くの店で鴨を注文すると薄くスライスした形で供される。「アッカ」ではおそらくは大きな塊でまず火を入れて、そして中心だけ四角に切った形で提供された。この発想にまず唸った。これは理由があってそして論理的な帰結に基づいた調理方法だ。鴨を口に運んだ私はその美味しさに再び唸ってしまった。

六本木にあった「オーミリュー」は、行きたいと思ったまま結局は行くことができずに岐阜へと移転した後、閉店してしまった。代官山にあった「オ・コション・ローズ」も一度きりの訪問で再訪が叶わぬままに、香川へと移ってしまった。「翁」も長坂を経て今は広島だ。逆に東京へと来てくれたのは「イデミ・スギノ」くらいであろうか。遠いところまで足を運ばないと大好きなものを食べることが出来ないことは大変ではあるが、考えて見ればこれは健全なことであるのかもしれない。

世界はサマー・パーティ 真野恵里菜 (邦楽)

着実に女優としての道を歩み始めた真野恵里菜を、アイドル歌手の名前で呼ぶことには躊躇してしまうが、例えば「世界はサマー・パーティ」を聴くと、私たちは瞬時に彼女のアイドル時代へと戻ることができる。コンサートを収録したBlu-rayの中で歌い、踊り、喋っていた真野は、マツコ・デラックスが指摘したようなソロアイドル不作の現在においても、360度どこから見ても紛れもなく正しいアイドル歌手であった。

アイドル歌手であった真野についてもう一つ特筆すべきことは、彼女をインディーズ時代から支えて来た三浦徳子とKANが、この曲でも作詞と作曲を担当していることである。KANもそうであるが、それ以上に松田聖子の最初のアルバム「SQUALL」および2枚目の「North Wind」の全曲、そして3枚目の「Silhoutte」でも大半の作詞を提供して「松田聖子」というイメージを作り上げた最大の貢献者である三浦が、2009年時点でも健在であることを私たちは驚きをもって知るとともに、素直に喜ばなければならない。

「世界はサマー・パーティ」はイントロのモータウンビートが印象的な曲だ。多くの編曲者がこの手法をアイドルソングで使っている。これも今は立派な女優になった広末涼子のアイドル歌手としてのデビュー曲である「MajiでKoiする5秒前」もそうであるし、前述の松田聖子でも甲斐祥弘が作曲を手掛けた「ハートをRock」がモータウンサウンドを効果的に使っている。ダッダッダーンのリズムに惹かれるのは、どうやら私だけではないようだ。

真野は同じくアイドル歌手から女優に転身した満島ひかりを目標にしているという。秋から始まったTVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」は、DVDで「リーガル・ハイ」を一緒に見て以来のガッキーファンである小学生の息子に促され見ることにしたが、真野も出演している。もうアイドル歌手としての彼女を見ることが出来ないことは本当に残念ではあるが、このドラマでの活躍に期待しつつ、真野にとっての「愛のむきだし」は、何になるのかなと考えている。
プロフィール

魔笛

Author:魔笛
大好きなものを綴った日記です

映画:ハリウッド映画からピンク映画まで
本:ジャンルを問わず小説が中心
食べ物:フランス料理とイタリア料理が好物
旅行:なかなか行けませんが欧州とアジアが好き

大好きなものを語る場合、時として辛口になることもありますが、愛情の裏返しということでご容赦下さい。また文中敬称略であることもご勘弁願います

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